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改正民法について

執筆者の写真: Admin
Admin
8月12日
読了時間: 4分

改正民法、令和2年(2020年)4月1日施行分、いわゆる債権法改正について、わたくしの理解をざっくりとまとめますと、以下のとおりでした。実務家として、実体法についてはあまり使わないからと不勉強でいることは、非常に危険であること、反省する次第です。法改正がどうして必要かと言えば、1.有名な判例の条文化、2.時代に合わない条文の変更、3.これまでになかった取引の条文化などがあるようでした。世の中の流れの大前提を理解していないと、壊れたコンパスで探検しているようなものです。


内容的には、意思表示の総則的な規定の見直し、時効制度の明確化・バランス調整、契約総論や典型契約の現代化になりますが、わたくしが衝撃だったのは、①債権譲渡禁止特約の効力につて、②土地賃貸借の期間について、③定型約款・約款取引について、です。


①債権譲渡禁止特約の効力


債権とは何か等々説明していますと迂遠ですので、ポイントだけにしますと、条文の書きぶりの違いになりますので、以下に記載します。


旧民法466条

第1項 債権は、譲り渡すことができる。ただしその性質がこれを許さないときは、この限

   りではない。

第2項 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、そ

   の意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。


現民法466条

第1項 同上

第2項 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思

   表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。

第3項 省略


現民法では第3項、第4項で、旧民法の「対抗することができない。」がどういう意味なのか、譲受人の「善意」も含めて条文化しています。これまでになかった466条の2から466条の6までで、譲渡された後の支払等について規定されました。


わたくしの疑問は、当事者が債権を他人に譲渡しない旨合意したのに、どうしてこれに反する債権者による第三者への譲渡が有効なのか、です。結局債権債務はお金だよね、債権が譲渡されたということはお金の回収なのだから、債権者に対して支払わないような債務者は、約束と違うじゃないか!と主張できる立場じゃない、という訳です。現民法466条の2で債務者にできることが規定されていますので、バランスは取れているようですが、これも時代なのかと驚きでした。


②土地賃貸借の期間


旧民法604条第1項は、賃借権の存続期間は20年を超えることができないとし、借地借家法で建物のための借地権は30年、あるいはそれより長期とするケースを規定していました。新民法では賃借権の存続期間は50年を超えることができないと改正されたのですが、これはどうも、建物ではないソーラーパネル設置のための土地賃貸借のために期間を長くしたらしいのです。経済界からの要請だとか。


昨今では、里山の美観がソーラーパネル設置により損なわれるといった議論や、ソーラーパネルの廃棄処理問題に注目が集まっているとわたくし自身は認識しておりました。このような改正がなされている、となると、ここは考え方を切り替えて、里山美観地区指定や、廃棄処理問題クリアに向けた新しい研究・テクノロジーの進展を待つのみです。


③定型約款・約款取引


定型約款・約款取引とは、例えば電車に乗るためにスイカやパスモでタッチして電車に乗る、水道高熱等ライフラインの利用や支払など、一定のサービスを不特定多数者が利用するための契約、保険契約などにも利用されている契約類型です。これまで民法に条文化されていませんでした。契約総論の第4款契約の解除の次に、第5款として規定されました。


これまではどうしていたのかというと、これらの約款の内容は、しかるべき主務官庁が許認可を出す前提で、約款をチェックしていたようです。東京都水道局との契約はどうなるのかはさておき、これも私人間の契約になりますので、その規定が民法にないのは問題だったらしく、例えばインターネットプロバイダーとの契約についても当てはまり、私たちの生活に大きな影響のある契約だったこと、思い知らされます。


高校生向けに法律教室の依頼を受けて、司法書士会で講師として出向く活動に、わたくしもかつて参画していました。その際生徒の皆さんに、日常生活でみなさんは沢山の契約をしているのですよ、これらの契約なくして皆さんの生活は成り立たちません、とお話ししいた記憶があります。確かに契約ではあるのですが、約款による契約であることは、説明していなかったなと、そこを深掘りして生徒さんにお伝えする程には、問題が意識化されていなかったのか、と当時を振り返ります。


※画像は、もう処分すべきか、我妻榮「民法講義」

※法務省にて高校生向けリーフレット動画がありましたのでご覧ください

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